InstagramのDMでこのようなご質問を頂くことがあります。
『パースの練習をしたいのですが、iPadを購入するべきでしょうか?』
特に学生の方から頂くことが多く、iPadを使ってパースを描きたいが、高価なものであるため購入するか悩まれているようです。
こちらの質問に対して、DMでは十分な回答ができていなかったため、この記事でお答えしたいと思います。
この記事では、アナログとデジタルの特徴とそれぞれどのような方に向いているのか解説します。
- これからパースを学ばれる方
- iPadを購入するか迷われている方
- そしてご質問を頂いた皆様
そんな方々のご参考となるような内容になっています。
※記事内では、iPadを使って作図する方法を『デジタル』
紙とペンで描き、色鉛筆やコピックで着色する方法を『アナログ』と呼んでいます。
アナログという言葉を聞くと、マイナスなイメージを感じられる方も少なくないかと思いますが、あくまでデジタルの対義語として分かりやすくするために使用しております。ご了承ください。

はじめに
まず結論として、iPadを購入するかしないかは、どちらでも良いと思います。
(求められているような答えになっておらずすみません、、。)
金銭的に余裕があるのであれば購入するのも良いと思いますし、仮にiPadがなかったとしても何も問題はありません。
ただ、パースをこれから学ぶという方には、まずは紙とペン(アナログ)から始めることをおすすめします。
理由は、デジタルは様々なショートカット機能等が豊富にあり便利な反面、本来思考する必要のあるものまで省かれていることもあるためです。
基本を理解した上であれば、とても便利なものですが、デジタルだけで学んでしまうと、道具に頼ったスキルになってしまう可能性が高いのではないかと考えています。
私も全く描いたことがない状態から、半年ほどアナログで練習して、その後にデジタルへ移行しました。
0から学ぶ方はまずは紙とペン(アナログ)だけで描けるようになりましょう。
そして、ある程度基礎が身についた後、これから具体的にお伝えするそれぞれの特徴を見て、自分に合っていると思う方を選んでみてください。
まずはアナログの場合から解説していきます。

アナログで描く
気軽に始められる
紙とペンだけあればパースは描けます。
準備がいらず、初期投資0で始められるのがアナログの良いところです。
この記事を読んでいる今この瞬間からパースは学び始められます。
(念の為、最後まで読んでから始めましょう。)
これがパースをこれから学ぶ方に、まずはアナログをオススメしたい理由の1つです。
パースが上達する秘訣は?とよく聞かれるのですが『とにかくたくさん描くこと』しかありません。
何を使って描くか悩む前に、まずは今日から毎日手を動かすようにしてください。
形から入ろうとしてiPadを買ったはいいものの、長続きしないのが一番もったいないです。
勢いでギターを買ったけど、Fが弾けず挫折するのと同じです。
まずは毎日線を一本引いてみるだけでもいいので、描く習慣をつくってみてください。

上達が早い
はじめにお伝えした通り、デジタルには便利がたくさんありますが、本来手を動かして覚えるべきものも省略されいていることもあります。
例えば、定規を使わずに綺麗な線を引くこと。
例えば、定規を使わずに綺麗な線を引くこと。
パースを描き始めた際、私が最初に躓いたポイントです。
私の上司にパースがとても上手な方がいたのですが、定規なしで綺麗な線を引かれていました。
綺麗、というのはまったくブレがない直線というわけではなく、よく見ると少しクネクネと畝っているのですが、それが良い感じに見えるのです。
もちろん定規を使っても良いのですが、実務で活かすためにはフリーハンドで線を引く技術は欲しいところです。
ですがデジタルの場合だと、直線ツールといって、自動でクネクネとした線もピンっと綺麗な直線となります。
他にも、適当に描いた円が自動で補正されて真ん丸になったり、消失点を設定することで、自動でパースが取れたりと、たくさんの機能があります。
基本さえ分かっていればこのような機能はどんどん使って、作業量を増やすべきですが、この方法だけを学ぶと、デジタルツールに頼ったスキルとなります。
本当の意味で自分だけのスキルとするために、まずはアナログから始めましょう。
その方が上達も早いはずです。
また、パースはただ作業的に描くことだけではなく、描くことで気づくことがあります。
描いているうちにデザイン力も発想力も深まると思います。
できればただ手を動かすだけでなく、空間デザインや細かい納まりなど、描きながら考えてみてください。

唯一無二の作品になる
紙に描いた作品はこの世に1枚だけしかありません。
コピーして似たようなものは作れたとしても、あくまで複製品です。
オリジナルには、複製品やデジタルで描いたものにはない良さがあります。
この世に1つしかない作品をつくれるという点では、アナログならではの利点です。
ただ、最近になってNFT(非代替性トークン)の仕組みができたことで、実はデジタルでも同様の唯一無二性が生まれるようになりました。
もちろん全てのデジタル作品がそうなったわけではないですが、既にアナログの作品とデジタルの作品が同等の価値を与えられる時代になりました。
『言葉だけは聞いたことがあるけどNFTって何?』と思われる方も多いかと思いますが、ここでNFTの話を始めると記事の内容と大きくそれてしまうため今回は省略します。
気になる方は『NFT』とGoogleで検索してみてください。
NFTと住宅建築の関わりについては、また改めて別の記事にしたいと思っています。

手書きならではの表現
アナログの作品には、デジタルでは完全に表現できないものがあります。
消しくずが擦れた後、ペン跡の凸凹、繊細な強弱やタッチ、コピックの色ムラやシミなど。
私はより温かみとその人らしさが現れる気がします。
簡単に描き直しができないからこその味もあります。
例えば、引き渡しの際のプレゼントとしてパースを描いて送る場合などは、アナログで描いたほうが良いかもしれません。
どのような状況で渡すのか、何を伝えたいのか、それによって使い分けが必要です。

手が汚れる・消しくずが出る
私はこの点を解消したくてデジタルへ移行しました。
パースを描いていると、一発で思った通りにできるときもあれば、少しイメージと違って修正したりすることは多々あります。
細かく表現をすることも多いため、毎回消しくずが出たり、描いているうちに手が汚れ、紙と擦れて黒くなったりします。
これがなかなか面倒でストレスでした。
毎日の日課としてパースを描く癖をつけるためにも、できるだけストレスは無くしたいものです。
これが私が唯一アナログでデメリットに感じていたことでした。

まとめ(アナログ)
以下のような方には、アナログでの作図をおすすめします。
- パースを学び始めたばかりの方
- 初期費用を抑えたい方
- ただ描くだけでなくデザインも学びたい方
- 線のタッチや強弱等を習得したい方
- コピックや色鉛筆で着色したい方
- 贈り物としてパースを描きたい方
続いて、デジタルの場合です。

デジタルで描く
豊富な機能による効率化
iPadの描画アプリには覚えきれないほどの機能が豊富にあります。
描いている中で『こんな機能があれば便利なのに、、』と思ったとき、調べてみると大体あります。
使いこなせるようになるまでは少しハードルを感じますが、慣れてしまえばアナログと比べて圧倒的に早く描けるようになります。
早く描けるようになった分、短時間でより多くのパースが描けるようになりました。
主に以下のような機能は便利です。
- 消しくずが出ない
- 1タッチでやり直しができる
- レイヤー分けができる
- 拡大縮小で細かいところまで描きやすい
- 自動でパースが取れる
- 直線や正円が綺麗に描ける
- 移動中など省スペースでも作業しやすい
- 色を簡単に変更することができる
他にもたくさんの機能があります。
私の使っているアプリ『Procreate』の機能や使い方については、Instagramやこちらのブログでも紹介しますので、ご興味があれば御覧ください。

WEB打合せとの親和性
ここ数年、ZOOMなどを使ったオンラインでの打合せが増えました。
私が行っているパース講座も全てオンラインで行っています。
WEB打合せを行う際には、当然ですがデジタルのほうが向いています。
画面を共有しながらその場でパースを描いたり、出来上がったものをそのまま出力してLINEでお送りしたり、意思疎通が大変捗ります。
p class=”txt_border”>コピー機がなくてもiPad1つだけで仕事ができるのも良い点です。
初期投資がかかる
はじめにお伝えした通り、初期投資がかかるのがデジタルの難点です。
オススメの機材などは改めてご紹介できばと思いますが、ざっとこのような物が必要。
10万円以上の出費は大きいですね。
購入するからにはその分の価値を見出さなければなりません。
よく考えた上で購入しましょう。

マネタイズの可能性
最後に、デジタルでパースを描く+αのメリットをご紹介します。
それが、マネタイズに繋げやすいということです。
マネタイズとは、収益化させる事業を生み出すこと
例えば有名なサービスでココナラが挙げられます。
↓こちら

デジタルであれば、このサイトでパースを描くサービスを簡単に販売することができます。
『お金を頂けるほど上手くかけない。』と思われる方も多いですが、実はそこまでのスキルが無くても十分販売できます。
(もちろん上手ければそれに越したことはないですし、より高額に多く販売できますが。)
実際、私も過去に初期投資分くらいはお仕事を頂いたことがあります。
具体的な方法などは改めて記事にしたいと思います。
また、お金だけではなく、サービスを行ってみることで、よりパースが上達する機会にもなりますし、お客様とのやり取りは良い勉強の機会です。
アナログで描いたパースも販売できないわけではありませんが、マネタイズのハードルが低いのはデジタルだと考えています。

まとめ(デジタル)
以下のような方には、アナログでの作図をおすすめします。
- パースの基本を既に習得した方
- 初期費用をかけられる方
- 作業の効率化をしたい方
- WEB打合せを行う方
- コンテンツ販売をお考えの方
以上がアナログとデジタルの特徴でした。
この記事でご紹介したこと以外にも、その方の求めるものによって良し悪しはあるかと思います。
ご自身に合った選択ができるよう参考にしてみてください。
大切なこと
パースをアナログかデジタルどちらで描くのか、について解説しましたが、最初にお伝えした通り、大切なことはそこではないと思っています。
私が考えるパースを描く目的は、上手に描くことではなく、伝わることです。
パースはイメージを伝えるための手段であり、アナログかデジタルかも手段の1つです。
より伝えやすいのはどちらなのか。
そもそも何を誰にどう伝えたいか。
まずはそこから考えてみることが大切だと思います。
おわり
